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WPCの2025年調査:Qi 2 ワイヤレス充電の採用拡大と高いユーザー満足度を確認

作成者: GRL Team|2025/11/19 13:26:02

ワイヤレス・パワー・コンソーシアム(WPC)1が2025年9月17日にマドリードで開催された全体会合で発表した新たな調査結果は、ワイヤレス充電の将来に対して楽観的な見通しを示しています。アメリカ、イギリス、ドイツ、インド、中国、韓国の合計3,033人を対象に実施されたこの調査では、Qi2ユーザーの安定した普及と高い満足度が明らかになりました。それと同時に、非利用者の多くは意欲の欠如によるものではなく、Qi2に対する「認知不足」によって利用していないことが示唆されており、今後の大きな成長余地がうかがえます。

 

世界市場で確固たる足場を確立

回答者の約6割(59%)がスマートフォンやモバイル機器の充電にワイヤレス充電を利用しており、ユーザー動向から、ワイヤレス充電が主流になりつつあることが明確に示されています。イギリスとドイツの市場では2022年以降、それぞれ9%と6%の大幅な成長が見られました。一方で、中国は引き続き73%という圧倒的な普及率で市場をリードしています。

その他の地域では成長が地域ごとに異なっており、アメリカでは3%の増加が見られる一方、インドと韓国ではわずかに減少しました。しかし専門家は、これらの変化を後退ではなく、「認知度の差を埋めることで大きな成長を見込める機会」として捉えるべきだと指摘しています。

Qi2ユーザーは高い満足度と高頻度の利用を報告

特にQi2ユーザーの満足度は非常に高く、ドイツで83%、インドでは96%にも達しています。アメリカとイギリスでも10人中9人がQi2デバイスの利用体験を「良好」と評価しています。

さらに重要なのは、Qi2が期待に応えているだけでなく、ユーザーの習慣を変えつつある点です。Qi2ユーザーはワイヤレス充電を利用する頻度が非常に高いのです。その比率は41%であるのに対し、非Qiユーザーは28%にとどまっています。実際、Qi2ユーザーの半数以上が「毎日ワイヤレス充電している」と回答しています。

次の普及フェーズを切り開くには

これらのデータはQi2ワイヤレス充電の着実な普及を示していますが、さらなる成長には、「認知」「イメージ」「実用性」のギャップをどのように埋めるかが鍵になるとも指摘されています。

 

若年層がQiおよびQi2認知を牽引

ワイヤレス充電の認知率は過去最高に達しており、ミレニアル世代が73%でトップに立っています。Gen Zが71%で続いており、Gen Xとベビーブーマーもそれぞれ56%と40%と、一定の認知度を報告しています。

一方、「Qi」そのものの認知は若年層に集中しており、Gen Zの41%、ミレニアル世代の46%がQiをワイヤレス充電技術として認識しています。それに対し、Gen Xでは21%、ベビーブーマーでは11%にとどまっています。この差は、Qiのブランディングがデジタルネイティブ世代に影響を与えていることを示しています。今後の成長機会は、ワイヤレス充電は知っているものの、Qiを知らない中高年層をターゲットにすることにあるかもしれません。

 

非利用者が乗り換えるには、より明確なメリットが必要

ワイヤレス充電をまだ利用していないユーザーのうち、33%は「従来のコンセントを好みます」と回答しています。また30%は「ワイヤレス充電に対応していない機器を所有しています」と述べています。約4分の1は技術について十分に理解していないため、その価値を認識できていません。

とはいえ、既存ユーザーの高い満足度を見る限り、普及の障壁は「拒否」ではなく、「認識」にあると考えられます。デバイス互換性の向上が進めば、ワイヤレス充電の利便性やサステナビリティに関するユーザーへの教育と組み合わせることで、Qiの利用はさらに拡大すると期待できます。

 

消費者の優先事項は速度、発熱管理と信頼性

消費者が求める改善点として最も多かったのは「充電速度の向上」(58%)、「発熱の抑制」(45%)と「より高品質な製品」(39%)が挙げられました。さらに、安全性と信頼性も36%で4位にランクインしています。

 

Qi2がワイヤレス充電規格として定着

今回のWPCの調査結果は、Qi2がワイヤレス充電の新たな基準を築きつつあることを示しています。市場や属性によって利用度にはばらつきがありますが、ユーザーの高い満足度はこの規格の強固な基盤を支えています。Qi2の今後の成長軌道は、「高速充電」「発熱管理」「安全性・信頼性の継続的な保証」などユーザーの優先事項への対応力にかかっています。

Granite River Labsのプレテストおよび認証サービスを活用して、急成長を遂げるQiおよびQi2ワイヤレス充電エコシステムに、デバイスを加えましょう。OEMやメーカーは、GRL Qi2 ワイヤレス充電 トランスミッター/レシーバーテスター(GRL-C3-MP-TPRおよびGRL-C3-TPT)を使用し、自社のラボでWPCが義務付ける全試験プロセスを実施することができます。

 

参考文献

1. WPC (Wireless Power Consortium) 2025 reports. Members only.